くーす(古酒)

久し振りに強く印象に残る酒に出会いました。
泡盛の古酒です。
本格焼酎の蔵元の集まった懇親会で、
とある泡盛メーカーの社長がカバンの中から取り出した秘蔵の瓶。
来歴の細かいストーリーは忘れてしまいましたが、
30年古酒が多くブレンドされた、「あるだけしかない」お酒です。

最初は、まろやかできれいなという印象より強いものはなかったのですが、
時間が経つほどにやわらかく甘いバニラの香りが際立ってきます。
これはもう泡盛の独特な風味とはまったく違った、
素晴らしく上質な香りです。

良いスピリッツとは、
やはり香りなのだと強く思いました。
この上質な香りを知ると、
何度も何度も嗅いでみたくなり、
そこから離れられなくなってしまいます。

泡盛以外の本格焼酎も含めて、
実は私は甕貯蔵の酒にあまり良い印象を持っていませんでした。
特に目の粗い安物の甕に貯蔵された酒は、
独特の泥臭い、田舎っぽい香りがあって、
いくら口当たりがまろやかになっても、
これが高価に売るだけの価値があるとは、どうも思えませんでした。

見た目は良くても、
琺瑯タンクの方が好き。

以前、だいぶ昔のことですが、
球磨焼酎の蔵元を訪れた時、
内側まで釉薬が塗られた甕がたくさん並んだ貯蔵庫で、
同じく何十年も経った古酒を飲ませて頂いたことがあります。
この酒は、忘れられぬ強い印象を残してくれました。

そんな酒に出会うことはそれほどありませんが、
出会う喜びは格別ですし、
一生忘れない印象が残ります。

これがあるから、
やめられないのかな。

久し振りの嬉しい夜でした。

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